芋ぬ時代
んむぬじだい

芋ぬ時代

浦崎　芳子　(伊江島)

夜明けしらじら　あかとぅんち　鶏ぬ唄いる声聞きば
〇夜が明けて明るくなってきた頃　鶏の声を聞いたので

我ったーアンマー　ちがきみそち　しんめナビーに芋煮みそーち　子ぬ達　朝ぬ目くふぁやー
〇うちのお母さんは油断せずに　夜明けと共に朝食の支度をした。(朝早くから心掛けた)
4枚<イチメー、二メー、サンメー、シンメー>高層のしんめー鍋で芋を煮さって、子どもたちの目覚ましだ

笑いはっちりとーる熱芋や　フーフーぬまーさぬぬくたまてぃ　アンマーが煮ちょーる芋ぬ味
〇(芋がほっかほかに笑っているようにはちきれている様子：おいしく炊けている様子)
ほっかほかの芋は、フーフーして美味しいので　　お母さんが煮ている芋が

ぬーでぃ　くぃーくぃーちーちーかーかー　茶んカティガティまーさ味
〇喉にひっかかって　美味しいから口の中、喉の中に一杯ほおばって　お茶を飲みながら　美味しい味だ

寒(ふぃー)くなりばんうびんじゃち　暑(あち)くなりばんうびんじゃち　クーフチ芋（コクがある）ぬ
熱(あち)コーコーから
〇寒くなっても思い出し　暑くなっても思い出す　粉拭き芋が出来立てのアツアツで　

クラガー百号　イナヨー芋から　面影(うむかじ)立ちゅさ　あの時分
〇クラガー百号　イナヨー芋で面影たつよ　あの時分
　イナヨー「誰にーいんいなよー」という表現からきた(カタイナヨー：かたるなよー　もある。)

クバ笠かんとてぃ夏(なち)ぬ日ん　冬ぬ寒いさる雨(あみ)ぬ日ん　むのーちゅはーら腹一杯かでぃ
〇クバ笠をかぶって夏の日も　冬の寒い雨の日も　食べ物をおなか一杯食べて

根気(くんち)ちきやい　うみはまりんでぃち　親(うや)ぬかまちゃる芋ぬ味(あじぇ)
〇根気をつけて「がんばりなさい」と、言って　親が食べさせてくれた芋の味

三度三度ぬはんめーやー　芋と塩小(まーすぐわぁ)し腹みちてぃ　命つぃなぢゃるあぬ志情(しなさき)や
〇三度毎度の食事は　芋と塩でお腹を満たして　命(いつもの元気)を繋いでいるあの情けは

忘てーならんさ親ぬ恩義(うんぜー)　いちぐいちまでぃ忘んなよ
〇忘れてはならないよ　親の恩義は一生いつまでも忘れるなよ

＜コメント＞

・うみはまりんでぃち　＝　「がんばりなさい」と言って
うみ：一生懸命（形容詞）　はまり：がんばり　　でぃち：といって
・かまちゃん　　自分が相手に食べさせてあげた
かまちゃる　　親が食べさせた
・芋が琉球に伝わったのは、1605年　野口総管　(嘉手納町)
・マース小　グワー　⚪︎ → ガー　✖︎